エンジョイ! ストライダー !!
1、はじめに
発達の観点からはこちらの記事(⇒ストライダー 本気シリーズ『子どもの発達~重心から考える~』)でも書きましたが、バランス制御の機能が安定するのは6歳~10歳であり、10歳以降も20歳まで成長が続きます。最低でも10歳までは発達途中なので、不安定なのが当たり前なのです。
謎パパ『だから筋力をつけて安定を強化するんでしょ?』
もう本当に勘弁してください。
子どもの可能性の足かせになりかねないです。
ストライダーを子どもにとってスポーツの始まりに考えているご家族はよく考えてほしいです。
運動神経が良いとはなんでしょうか?
ストライダーが速いこと?
ストライダーが速くても足が遅くてボール投げが飛ばない子はたくさんいます。
ランバイクをスポーツの終わりにさせないために。。。

2、人間が動くということ
「あのリンゴ食べたいなぁ。」
と思って台所に置いてるリンゴをみたとき。
あなたは腕の筋肉のみでリンゴを取りに行っているのでしょうか?

人間はまず、”今から行いたい動作に必要なバランス制御プログラム”(予測的姿勢制御)が作られ、各命令系統によりその動作に必要な身体の反応が命令(内側運動制御、外側運動制御)されます。次いで実際の動作を最適化するように姿勢の修正(反応的姿勢制御)が入ります。
つまり、リンゴを取るための動きに必要な姿勢制御が予測され、その動きが遂行されます。そして手を伸ばしながら少しずつ位置が修正され、リンゴを取ります。
先行するのはやりたい動作に必要な姿勢制御が適正に準備出来るという事です。
武井壮さんも言っていましたが、運動神経がイイとは、自分の思い通りに身体を使えるという事です。(下記動画9:30~)
この動画最高に感動して何度も見てます
(´;ω;`)ウゥゥ
姿勢制御の始まりで有名な図がこれ

そして、神経伝達系で有名なのはこれ
特に内側運動制御系が大切です。
さらにもっと言うと網様体脊髄路によるコアスタビリティが大切(*‘∀‘)

まず最初に大脳基底核を中心に予測運動制御が働きます。
文献により異なりますが、予測運動制御は行いたい動作、つまり随意運動が始まる0.1秒前に始まると言われています。
この予測運動制御は「経験による運動学習」が大切!!
つまり、
いろいろな動きを経験して、自分の体のイメージ(ボディイメージ)とそれをコントロールするイメージができていないと運動に必要な姿勢制御が予測できずに、行いたい動作のパフォーマンスを発揮できないという事です。
私は以前より競技ストライダーでトップとなる選手の走り方は美しいと感じていました。(。-`ω-)
体格には恵まれていないけどフォームめっちゃきれいで速いという選手には目を魅かれたものです。(*´ω`*)
でも稀に、フォームはきれいではないけどパワーは凄くて速いという選手を見ることがあります。
この差ってなんなんでしょうね?
3、筋力による姿勢制御の弊害
先ほど話した【予測運動制御】のお話。
簡単に言うと海や川、山遊びや、アスレチックでの遊び、鬼ごっこなど
”多くの遊びを経験している”
子どもはストライダーでも姿勢制御が秀でているため、全力を出すことが出来るということです。
では、ストライダーのみガンガンやってきて、スクワットや腹筋など筋トレをしている体の使い方が偏ってしまっている選手の不十分な予測運動制御でも勝てているのは?
恐らく【反応的姿勢制御】で対応してしまっているのだと思われます。
これは、バランス崩した時に反応的に姿勢を戻す役割です。
つまり、
身体の動揺は大きいけど『ふらついたらふらついたで対応して、カバーしてしまおう』という反応です。
もっというと
筋力で姿勢を固定して力を発揮するという姿勢戦略であり、正しい神経レベルでの制御ではないです。

4、姿勢制御で大切なこと
人間の動きは筋肉が縮むだけの動き方が圧倒的に楽。
力を入れつつゆっくり伸ばすという動きは難しい。
一般的な腹筋運動も頭を持ち上げるよりもゆっくり戻る方が大変ですよね。
他の例では、、、、
⇒2ℓペットボトルの段ボールを持ち上げるより、ゆっくり置く方が大変。
⇒階段を上がるより降りる方が大変。だから後日の筋肉痛は強い(;´Д`A “`
何が言いたいかというと。(超大事なこと言うよー!)
- 姿勢制御を行うには筋力ではなく、神経伝達による無意識下のバランス制御を発達させることがめっっっっっっっちゃ大切!!!
- バランス制御を筋力に依存すると固定的な姿勢となり、スポーツで求められる俊敏さは皆無な動きになる。
- 筋力による姿勢制御が癖になるとバランス制御系の発達が出来ていないため常に代償的な動きが出てしまい修正が困難。
力で姿勢を作っているスポーツってあります?
一流になればなるほど動きは柔らかく、リラックスしていますね。
まだまだ続きますよぉ。

6、【蹴り脚】で考える
では、
ランバイクで一番よく考えられる動きの一つ。
【蹴り】
蹴りを分析すると、蹴り脚は後ろに伸びる動きです。
お尻や脚の後ろの筋肉を使います。
でも、
蹴りを制御する脚の前の筋肉や、その勢いに負けないお腹の筋肉など、伸びすぎないように必要な分だけ力みつつも伸びてくれる高度な制御をしている筋肉がいるからら出来ている動きです。
何よりも大切なのは
「その動きを今から行うから体のバランスが崩れないように制御しなきゃ」
と無意識に予測的姿勢制御が行なえているということです。
そして補助として、
蹴りの動きに合わせて適切に腕が支えてくれるから蹴れるのです。
その“支える”も固定ではなく、体が潰れすぎないよう制御してくれているから蹴れるのです。(肩甲骨の適切な柔軟な支持性)
以前記事にもしまして、今でも大切だと思っている別のバランスの話
⇒本気で考えてみたシリーズ!!バランス!!。
ここで大切なのは荷重移動や拮抗する動きを使った動きは、力に頼りすぎていない良い動きであり、筋力で解決してしまうカウンターアクティビティ―のみの動きはまさに本来の動きを逸脱して固定的な動きになりかねない。
本来の動きを抑制し、固定的に姿勢を作り、筋力であたかも動作が成立しているように見えてしまう怖さ。
本来の神経発達を抑制し、更なる運動発達の阻害になるかもしれないリスクが潜んでいます。
その機能が未発達な子どもがそういった姿勢造りの経験をせずに、いきなり筋力の固定力で行えてしまうと「調整」ができない体となり、様々な運動に対して適応できない姿勢戦略となり、ランバイクは速いけどその他のスポーツでは他の子よりも苦手、、となりかねないのです。
筋トレで手に入れた圧倒的な筋力による安定性。。。
それは反対に言うと適切に力を抜いてコントロール性の高い精緻な動きが苦手ということになっていしまう恐れがある・・・
反応性姿勢制御とは関節の曲がり具合、頭の傾き具合などさまざまな知覚からフィードバックされて反応するものです。
手を思いっきり握ってみてください。
その手を触られたときの感じ方と、リラックスしているときの手では人に触れられたときの感じ方が異なると思います。
リラックスしているときの方が触れられた感触ははっきりしていますよね。
つまり、力んでいてる身体では、有意識化のバランス反応も適切に知覚できず、力み過ぎてしまい固定的になりやすくなってしまいます。
もうほんと、どの観点からみてもいいことなしです。(;´Д`A “`

7、まとめ
筋トレによる効果は一時的には高いモノに感じてしまいますが、それは成熟した大人の話。
10歳以下の子供は今まさに適切なバランスを取るための身体造りをしている最中です。不安定な動きから徐々に適切なバランス反応を神経伝達レベルで作っており、思い描いた動きをするにはどうすればいいのかという経験をたくさん積むことが財産の時期です。
その時期に力でどうにでもなるという体づくりをしてしまうと、手足はリラックスして、体の深部筋の安定感で適切に動けるという“運動神経の良い子”のベースとなる身体機能を棒に振ることになってしまいます。
なので
筋トレのみによる体づくりはダメ絶対。
無理させて作った走法はその後のスポーツへの妨げになる可能性大。
勝たせてあげたい親心はわかりますが、親の遺伝子を継いでいる子どもの素質と身の程を考慮した子どもの全力を、全力でサポートしましょう!
体幹が弱いならアスレチックで遊んでけ!!(笑)
8、ご紹介
現在多くの方が正しい魅力的な運動を広めてくれていますので、簡単ではありますがご紹介
まずはfakpさま!!
福島県ランバイクチーム ”ウルトライダース” の代表鈴木さんが取り組むプログラムの一つ!
とても勉強になることばかりです(*‘∀‘)
もう一つご紹介させていただきます!!
zero bike factoryのトレーナーとしても有名なスポーツキッズ育成トレーナーの東さん!
即実行できる練習の数々!!Instagramは必見です!!